銀行


銀行

人生初のこと。
今年から当社の主要取引銀行となった機関の支店だ。
今日は、なんら大したことのない用事を済ませに行った。
なので担当者には連絡せず、
普通に発券機で番号札を取り順番を待った。
番号を呼ばれ、向かって一番左の女の子のところへ。
数分の要件を済まし帰ろうとしたとき、
彼女が立ち上がり少し前に身を乗り出した。
最近、頭の中は島耕作モード

(えっ、デートの誘いだろうか?)
っと勘違いした

彼女:『中川さん。まえ、支店長から中川さんの書いた本を借りて読んだんです。ほんとうにすごく感動しました

僕はビックリした

そして驚きがすぐに感動に変わって、
『えっ?あの介護の本読んでくれたの?ありがとう、すごく元気が出たよ

っと返事したと思う。
たしかに半年ほど前に支店長に本は差し上げていた。
この支店から法人として融資は受けているものの、
一般受付窓口の彼女とはなんら接点はない。
しかも、まずまずの規模のある支店だ。
実は、ここの支店長はスゴイ。
僕のひとまわり上で46歳。
初対面の時に、応接室に呼ばれて
2時間も話をした。
とても人望の厚い方で、
支店内でもカチッとした会議ではなく、
社員との小さいミーティングを密に行っていると聞く。
今回の声かけは、
そんな支店長の社員への想いと
それを受け止めた彼女の
素質の良さだろう。
感動のある接客とは、
何も丁寧な言葉遣いやお辞儀だけでない。
それよりも、
「相手にその人にしか言わないことを言うこと」
特別感こそが感動のある接客だろう。
ほんとうに嬉しかった。
想ったことは想うだけでなく、
相手に声に出して伝えないと、
伝わらない。
先程の会議の冒頭で、
この話をさせて頂いた。
もし、彼女に、
『中川さん、新たに定期積み立てを作りませんか?』
って言われたら、
そりゃ、絶対に作るよ

利息とか関係なしに、
もし他行より条件悪かったとしても、
絶対に彼女から作るよ。
銀行も客商売。
我々介護も客商売。
客商売って、そんなもんだ。
人の心に響くものは
人の心だ。
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